六角穴付き特殊ボルトの疲労破損には様々なものがありますが、疲労が原因のものが多いと言われています。六角穴付き特殊ボルトは強度区分が高いものがあり、疲労破損については特に注意を払う必要があります。
六角穴付き特殊ボルトの疲労破損について
疲労破損は締付け後に六角穴付き特殊ボルトが繰り返し引張り荷重を受ける場合、荷重の大きさが弾性限度内であったとしても、破損する場合があります。この場合疲労破損である可能性が高いと言えます。
疲労破損発生までのプロセスは、締付け後に六角穴付き特殊ボルトが引張り荷重を繰返し受けるうちに表面の一部又は、複数の箇所に微細な亀裂が発生し、荷重の繰返しによりこの亀裂が徐々に進行していき引張り荷重に耐え切れなくなって破断してしまいます。
通常、破断までにはかなりの時間経過があると考えられます。破断しないと気づかないことがほとんどのため予測が困難であるという特徴があります。
締付けと疲労は重要な関係にあります。締付けにより適正な軸力が六角穴付き特殊ボルトに与えられていないと、ボルトはゆるんでいる状態となり、疲労破損を起こす可能性が出てきます。
六角穴付き特殊ボルトの様な高強度ボルトは、疲労限度については十分に検討をする必要があります。 又、締付けによりボルトは引張り応力の他に締付けモーメントに応じたせん断力が作用しますが疲労限度に対する影響は殆ど無いと考えられます。
六角穴付き特殊ボルトの疲労限度の向上と、疲労破損への対応
●細い径のボルトを沢山使用する。
同じ荷重を多数のボルトで負担する場合は、太いものを使用するよりも、出来るだけ細い径のものを沢山使用するほうが有効です。一般的に細い径の方が疲労強度が高いと言われているためです。
●細目ねじを使用する。
同じ径の六角穴付き特殊ボルトを使用する場合、細目ねじの方が有効断面積の大きい分だけ外力を多く受ける事が出来るので、疲労破損のリスクがある箇所へは、細目ねじが有効となります。
注意点として六角穴付き特殊ボルトの様な高強度ボルトは、適切な締め付けをしないと破断事故に繋がりやすくなります。特に初期締付けが不十分な場合、ボルトはゆるんだ状態となり、疲労破損を起こすリスクが高まります。
六角穴付き特殊ボルトの締め付け後の対応
●増し締め
六角穴付き特殊ボルトの締め付け後に外力や振動を受ける事で、被締付け物の座面や接合面で微細な陥没などが発生するリスクが考えられます。この陥没はゆるみに繋がります。適当な時期に増し締めの実施がリスク回避に繋がります。
●締付け後のチェック
構造的に六角穴付き特殊ボルトの増し締めが出来ない場合、定期的な目視やハンマ等による打撃チェックで対応しましょう。
六角穴付き特殊ボルト締付け後にかかる外力の考察
六角穴付き特殊ボルト締付け後に締結体に付加される外力は、ボルトと締め付け対象物にかかりますが、この際にボルトが受持つ応力を考察することが必要です。ボルトにかかる応力が、限度を超えないように設計する必要があります。